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4月26日(月)

4月26日(月

 昼飯用のおにぎりを握るスタッフ3人は早朝4時半に起きる。昨日は雨の中を歩き続けて来たのに、今朝も暗いうちから日本人、フランス人、アメリカ人の若者が、キッチンの小さなスタンドの灯りだけで、黙々とおにぎりを握っている。

 一人二人と起きてそれを手伝ったり朝のコーヒーを自分で入れて飲んだり、通常2~3カ所あるバスルーム(アメリカではトイレをこう呼ぶ)を混む前に使ったりする。寝具片付けからパッキング。そして朝6時にはインターフェイスの祈りへの一連のウォークのスケジュールには隙間が無い。

 そして食事。荷をサポートカーに入れ、輪となって祈り、そして出発。その跡が見事に掃き清められている様子に教会のスタッフが驚いていた。僕が歩くのを止めてから、列が一列に続くようになった。この方が、交通からも安全だし、ニューヨーク市に近づくにつれて厳しくなる警察のチェックからも安全となる。今日も雨。

 看護婦の仕事から定年退職したという女性の運転する車でHighland Fallsの教会に直行。ここいらの地名は、ハイだとかポイントという単語が多くまぎらわしい。そこで与えられた宿泊場はキッチン付きの集会場だが、30人を越える数となったウォーク一行にとってはかなり狭い。それでも、雨の中を歩いて雨の中でテントを張るということにならずに、暖かい心を持つ土地の人に迎えられるのだ。しかも、心づくしの料理を幾つも用意しているという。

 ここに車でくる途中、ウェスト・ポイント士官学校の裏口を通った。箱根の峠越えを想わせる急な上り道。その先の深い森を行く見通しの悪いカーブを次々と曲がった先に突然の1車線の山道。白いフードで覆われたウェスト・ポイント士官学校の裏口が現れた。ガードが数人厳しく、入場する車のチェックをしている。アメリカ軍超エリート学校。以前、そこでプロテストした人は「9.11以前はとてもなごやかで、空挺部隊がパラシュートで降りてくるのを近くの緑地で眺めたものだったが、今はまったく何の兆しも見えない」と言った。ただ、入口の電光版にスポーツや娯楽の予定が流れているだけだ。その裏口から表口まで10キロ以上はあった。奥はどの位か判らないほど広大な敷地。見事な木々に覆われている山並のどこにも、建造物は見えなかった。こんな豊かな自然環境で学んだ者が、戦争の指揮官となるとは。自然のスピリットとは関係ない、人間世界が営まれるという事だ。近くの峠の高台からハドソン川が太くなったり狭くなって流れる様を見下ろした。

 風もないのに、水面に規則的な波が流れに直角に立って移動している。ハドソン川は大西洋の潮の満ち引きの影響を受け、満ち潮は河の流れをニューヨーク市の河口から300キロメートルは北にあるオルバニーの近くまで逆流させる。「だから、このすぐ下流にある2基のインディアン・ポイント原子力発電所から排出される放射能汚染されている可能性の高い温排水も、上流にまで広がっているんですよ」と、運転する人に言われた。「炉心冷却のための取水口には大きな魚を除く装置があるがそこで傷つき死ぬことも多く、またプランクトンや卵や小さな魚はそのまま取り込まれ死滅するので、大きな魚のエサが無くなってしまうのです。それに排水の温度も摂氏7℃位水温より高いから、人間だって7℃高くシャワーの温度を設定すればやけどするように、魚にとっては致命的となるのです」と、当たり前ながら日本の原発周辺と同じ事情が原発のある所には必ずある。

 ここの岩は固いから、ハドソン川が急に狭くなっている。岩が掘り出した狭い部分に小島がある。多分アメリカ独立戦争の時に、イギリス軍の軍艦が侵入するのを防ぐためチェーンをそこに張った所かも知れないとのこと。だが、その方法でも、イギリス軍を止められず、州都キングストンは焼かれた。18世紀末のことである。島には小さな砦らしき廃屋が見えた。東部の生命線ハドソン川沿いに何々ポイントの地名が多いのは、船員用語「岬」を意味する。ハイランド・フォールの街には、入口に戦車を飾った軍事博物館、その先に時計台のようなウェスト・ポイントの正門。
 
 他はまったく普通の商店と住宅だけの街だ。公衆便所が極端に少ないアメリカ。「バスルームに行きましょう」とのこと。つまりアメリカ入国以来マクドナルドに初めて入った。日本のより椅子テーブルの互いの間隔が広い。次々と入る友人連れや家族。いずれも内に太った人がいる。
 
 僕たちがウォークで出逢う人とはまったく異質なイージーライフのタイプの群が次々と出入りする。このような人が絶対数をしめる事実を思い知らされる。日本でも感じる自分たちがいかに少数派であるか、だ。

 昼食をウォークの一行に届けるため再び車に便乗して山道を戻るが、ウェスト・ポイント士官学校の裏道は閉鎖されていた。その先で岩が落ちたとの事。引き返し遠回りの後にウォーク一行が雨の中で、やはり反対側に張られた通行止めの柵の前で止まっているのを見つける。パトカーが来て、柵を越えたら逮捕されるかも知れないと通告する。そこでウォークは車の通行量の多いハイウェイW9へとコースを変更。しきりに降り続けている雨の中で後戻り。途中道路閉鎖する下にあるトンネル内にて昼食をとる。誰も不満の表情をしていない。

 夜、宿舎で美味しい夕食をとった後で、当地でインディアン・ポイント原発の反対運動をしている女性が訪れ、1時間状況を説明。僕は通訳をした。以下はその内容。

 1号機は1962年に稼働を始めたがECCS(緊急炉心冷却装置)が法的水準に達しておらず1974年に廃炉。炉心より放射性廃棄物も除去された。

 2号機、3号機は1974年、1976年に稼働し、ニューヨーク市の電力の30%を供給している。

 かつてトリチウムが漏洩したことがあるが、川の水量からしたら大した事はないと済まされた。この原発はニューヨーク市が日々使う水量の2倍を蒸気発生と冷却用に日々使用している。また放射性廃棄物はコロラドのユッカマウンテンにまとめて埋められるよう決められたが、それも計画倒れとなり敷地内に貯蔵されたままである。西海岸ほどではないが、この近くにも活断層は走っている。

 ただ2013年と2015年に見直される2基の原発に関してはハドソン川の水質と生態系保護のために、自動車のラジエーターと同じ閉鎖されたシステムの冷却装置をつけるようにと、環境関連弁護士により法廷で争われている。

 しかしその費用が甚大なことと、ジャーナリズム、政界のロビイスト等もこの原発の再許可を運動し、その中にはグリーンピース創設グループの一人も居る。

 9.11以来、その首謀者が事前にここの上空を飛び、偵察していたこともあり、治安は何重にも成されている。Entergyという原発を所有する多国籍企業は、航空機の衝突にも耐えられると言っているが、他の機関は露出している直径1メートルの冷却パイプは、脆弱であると言う。

 かつてアメリカ国民の60パーセントは原発に反対していたが、政府や企業が温暖化防止、原発推進のキャンペーンを張った結果、現在は賛否半々だろうとのことだった。オバマ大統領は最近原発2基の新設を決めた。


 彼女はほぼ一人で運動しているが、徐々に地方議会に原発反対派議員を増やす事に成功している。地方の住民は税金免除や電気代免除の特典に甘え、ほとんどの人は生活が楽になれば良いじゃないか、の程度で反対の意志表示をしないという。ちなみに例えここの原発が廃炉となっても、電力はアメリカではスポットマーケット制であるから他州やカナダから補えるとのことだ。

 その話の後に、一時消えたが2日前に戻って来た先住民4人ほどが「AAミーティングが隣の教会で始まる」と僕に伝えた。AAとは、アルコール中毒者の更生機関で、ニューヨーク市民が創設、今は全米全世界に広がっている大きなボランティア組織だ。

 さっそく教会に入ると既に10人ほどの中毒者と、12.3人の中毒を克服したウォーク参加中の先住民、白人ながら彼らの仲間となっているウォークのメンバー中僕が最も親しくなった40代後半の友人やボランティアなどが、かなり濃い交流中だった。

 各々がアルコール中毒となった経過とそれによる問題を告白し互いに共感しあった後に、中毒を克服したウォーカーの先住民や白人がバッファローから600キロメートルを歩いてきた経験を次々と述べる。その途中、日本から同行したMや若いフランス女性のウォーカーも入室、熱心に聞き入った。たぶん僕も一時そうだったように、アルコールにからめとられたことがある。中毒を克服するには12段階があり、タバコを止める、食事を食べ過ぎない事から始める。この組織は、ひとつの街でも朝夕数カ所で催され、その催しを渡り歩く内に自分に合ったメンバーの催しを見つけそれに通う。いわば第二の家族に属す事になる。すべて参加者の寄付で運営される。サンフランシスコでは、ビルを持つまでになっている。

 その夜の宿泊所は狭く、互いの寝床の間隔は狭かった。僕は歩いておらず、通訳の頭脳労働が主となったせいか、なかなか寝付かれなかった。
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